
上賀茂神社にはどの季節にも見どころはたくさんありますが
個人的には桜の時期をおススメしたい場所です。
中心部より人が少なめのこともありますが
いちばんの理由は
上賀茂神社の境内、
空が広いんですよね~。

広い空と山の緑と桜たちのコントラストが
春の上賀茂神社の特徴。
ガイディング
ロータリー近くの大鳥居から始めます。

大鳥居
参道が曲がっていますね~。
さて、今回、私はフィクションを使います。
フィクション、つまり想像はガイドの武器です。
普通のガイドは知識量では学者さんには到底かないません。私のような記憶力が良くないガイドはなおさらです。
が、
学者さんには『しばり』があります。
歴史学は文献研究の学問なので学者さんは文献に乗ってない部分を想像で補ったフィクションは使えません。
しかし、
ガイドは観光をエンタメ化することが仕事。
フィクションを使ってお客様にストーリーを感じてもらって楽しんでもらうことが許されます。私のような失うもののないガイドはなおさらです。
と いうわけで
今回私はフィクションというガイドの武器を使いますが、
新人ガイドの皆様、もし今回読んでいたら今回のネタは定説では全くないことをふまえておいてくださいね。うのみにしてはいけません。
フィクションはガイドの武器ですが、お客様によっては信用を無くす時もありますので、お客様のキャラを見極めてご使用することをおすすめします。
曲がっている参道に話を戻しますね。

『疫神(えきしん)』(元々は災いをもたらした神)が祭られている神社は参道が曲がっています。
京都で言えば、
都に雷を落としまくった天神『菅原道真』が祭られている北野天満宮の参道も曲がっています。↓

北野天満宮参道
これは神道の設定から来ています。
魂は摩擦力が使えないため通常は直線移動しかできないそうです。
だから参道を曲げることで簡単には出てこれないように閉じ込めているんだそう。
今はもう素人同然ですが元々は理系出身の私から見て
この設定ちょっと面白いです。
生きている人間は摩擦力の影響が大きい古典力学の範疇(はんちゅう)で
霊魂は摩擦の影響が少ない量子力学の範疇(はんちゅう)なんですね。
霊がもし存在するなら、
人の記憶が入った微粒子が電気的につながったものだろうと想像できます。
なら、確かに量子力学の範疇だよなあ
とか変に納得してしまいます。
とわいえ
菅原道真は、
今は学問の神になった元々は疫神として有名ですが、
ここ上賀茂神社の神が元々疫神だとは、
ガイドをしていても全くと言っていいほど聞かないんですよね~。
閉じ込められている印象を受けるのは確かなんですけどね。
一体どういうことなんでしょうか?
ところでそうそう
そろそろとりあえず名前出しますね。
ここ上賀茂神社の神の名は
加茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)
加茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)
翻訳します。
加茂は一族の氏、
加茂氏出身の雷(いかづち)を別(わか)つくらい強力な神
と翻訳できます。
面白いのは、
雷を出すほうの菅原道真タイプの神ではなく
放たれた雷を別つタイプの能力なのです♪
なんでそんな特殊な設定?
と 思いますが、
納得行く説明があるんですよ~お客様♪
そこにつなげるために
一旦、話、脱線しますね
稲妻(いなづま)
日本では雷、ライトニングボルトを稲妻と呼びます。
稲の妻(マリッジパートナー)という意味。
雷は、妻のように稲と相性がいいことを農業国日本の先祖は知ってたんですね〜。
遅れて現代科学もこれが正しいことを証明します。雷が田んぼの近くに落ちると、おそらく発生した磁場が稲の遺伝子のスイッチを押し、成長を促して豊作になるんだろうということらしいです。サイエンスゼロでやってました。
が
近くではなく、田んぼそのものに雷が直撃すると豊作どころではありません。稲全滅(いねぜんめつ)です。
そこで加茂別雷大神の登場です。

↑こんな風に
直撃しそうな雷をギリギリで別つことで稲全滅(いねぜんめつ)を稲豊作(いねほうさく)に変えることができる神なのです。
これが分かるとなんて役に立つ能力。
だから加茂別雷大神は五穀豊穣の神なのです。
面白くないですか?この設定。
お客様、点と点がつながってストーリーになりましたでしょうか?
楽しんでもらえたら幸いです。
では、前置きが長くなりましたが
桜を見に行きましょう。
大鳥居から曲がっている参道に沿って進み
一の鳥居を抜けると↓

雰囲気が変わります。
広い空と桜の風景

参道右側に、
名前のついている有名なしだれ桜が三本並んでいます。
本能的にしだれ桜に視線を奪われますが、
ここは
もったいないので本能に抵抗すべき時。
左側に目をやりましょう。

敷地の端でソメイヨシノも負けずにきれいです。
右側に視線を戻すと
有名な三本桜で最初に出会うのは斎王桜

が
遅咲きの紅枝垂れ桜なので
他の桜がピークの時にまだつぼみ
ここは私達バリアフリーツアー京都の定番の技を使って時間をすすめましょう。
『雪舟 未来』発動


斎王桜は紅枝垂れ。赤いです。
さらにミレイ発動。

三本桜のうち次に出会うのは
親王桜↓

そして最後が
御所桜↓

よかったら御所桜と親王桜で風を垣間見する動画をどうぞ。
三本のしだれ桜に別れを告げて
参道に沿って進むと
二の鳥居があります。
二の鳥居はまだくぐりません。
若いのでまだあんまり有名じゃないですが、
鳥居の手前を右手に進むとある、
風流桜(ふりゅうざくら)にも会っておきましょう↓

ちなみに風流桜という名前は、
葵祭の時にこの辺に風流傘(ふりゅうがさ)が並べられるからだそうです。
風流桜をあとにして、
いよいよ二の鳥居を通り抜けます。↓

すると
もう一段階雰囲気が変わります。
で
話は戻りますが
この雰囲気

やっぱり閉じ込められてると思いません?神。
だってこのせまいの参道ですよ。これ↓

上から見たらこんな感じ↓

参道は大きく曲がっていますし
建物のレイアウトがまるで神と対峙してるようにさえ見えます。
少し引いて見ると↓

細殿の前には上賀茂神社の名物風景『立砂』↓

向かって左の立砂には三本の松の葉↓

右には二本の松の葉↓

これは、安倍晴明に代表される『陰陽道』のお呪い(おまじない)。
『安定』を祈っています。
通常ガイドは『世界や国家の安定を祈っています』とお客様に説明しますが、
荒ぶる疫神に『どうか鎮まってください』と言っているようにも見えます。
だいたい、陰陽道と神道の手法って違うんですよね。
それなのに神道の神社の上賀茂神社が、
わざわざ陰陽師を動員して協力して疫神を閉じ込めているストーリーが浮かびませんか?
それに
ここの立砂が『盛り塩』の起源だといわれています。
現代の一般家庭でも見られる日本文化『盛り塩』は厄除け(やくよけ)のお呪い(おまじない)。
つながりませんか?
さらに
細殿の反対側で挟み撃ちするように建てられている橋殿↓

こちらは神道の手法。
各神社には、神に芸能を奉納して楽しんでもらうことによって神の力を高めてもらう舞台がありますが、
ここの神社は配置が特殊です。
橋殿の名前の通り、ならの小川と呼ばれる川の上に舞台があります。↓

境内に川が流れる神社はいくつもありますが、だいたいが、川より本殿側が最も神聖な神の領域、外側が人の世界と設定されています。
川には浄化の作用があり、神聖な神の領域を汚さないために参拝者が参拝前に上を通ると清められるという世界観です。
が
ここでは逆
これは、出てこようとする厄神にここで清まってもらおうとしてる作戦なのでは?
出てこようとする荒ぶる疫神を橋の上で芸能を見せて気を引き立ち止まらせ、時間を稼いでならの小川に浄化してもらう作戦。
どうですか?
呪術廻戦のような様相を呈してきませんか?

↑奥の楼門を通って神に会いに行きましょう。
↓楼門の向かって左側にあるのが早咲きの『ヒガン桜』

↑残念ながら一週間以上早咲きなので他の桜がピークの時見られないことが多いです。
↓楼門のむかって右側の桜は山桜

山桜は花と同時に葉が見られるのが特徴です。
楼門を通り抜け
↓中門へのアプローチ

参拝者が神に最も近づけるのは中門まで。
中門が拝殿の役目を果たします。
今回の私のフィクションの仮説がしっくり来たお客様、
肉体を失った神に残された欲求は、
自己承認欲求だけだそうです。
もしよかったら
お願い事に添えて
「人の味方になってくれてありがとう」
などと
神の自己承認欲求を満たす言葉を伝えたりするのはいかがでしょうか?

最後に桜に関する忘れ物がひとつあるので取りに行きます。
参拝を終えて楼門を抜けるとすぐ右へ
もうひとつの名前の着いた桜
『みあれ桜』
↓

『みあれ』とは
神の誕生する場所
という意味。
このあたりから北を見ると
木々の間から山が見えます。↓

あれは、
2600年前に加茂別雷大神が降臨した『神山(こうやま)』です。
すごい。
2600年って、、、。
神道の神は祭られて成長します。祭られた時間が長いほど強力な神だと言えます。
この伝説が本当なら
加茂別雷大神は2600年級の神です。
日本最強の三大厄神と言われる
崇徳天皇は900年、
菅原道真と平将門でさえ1100年級。
本当の最強厄神はもしかしたらここにおわす神じゃないですかね~。
では
あなたの観光がいいものになりますように
アクセス
今回使った技
『雪舟』
『ミレイ』
